博物学者のウイリアム・ヘンリー・ハドソンが書いた小説「緑の館」には,蜘蛛の糸で作った服を纏いし少女,リーマが出てくる。森に住む魅惑的な彼女は心惹く存在だ。…ワイヤードの中,僕は彼女のかすかな匂いを察して,糸を辿る。そして気付く,この世界に偏在する,彼女の姿を。
NEC社は,新しい検索サービス「ビッグローブ・サーチ」を開設,その検索エンジンにグーグル社のエンジンを採用した。検索結果はグーグルで検索した場合とほぼ同一のものとなり,それに現在NEC社が運営している検索サイト「ネットプラザ」の的中サイト機能を付加する。
検索エンジン,なにをお使いだろう? 9月に日本語ページも設置したグーグルは,やはり評判がいい。というか,自分がいちばん使っているのもグーグルになっている。フレッシュアイでニュース系の記事を漁る以外は,グーグルですんでしまう。他の検索エンジンの結果と比べても,目的の情報にたどり着きやすい。米国ヤフーが,それまでのインクトミ社のエンジンからグーグルのエンジンに切り替えたように(WIRED NEWSの記事),利用者の調査結果で98%の利用者が満足な検索結果と評価しているように(Impress INTERNET Watchの記事),しなやかな検索結果は,「肌に合う」感じをうまく出している。
ウェブを蜘蛛の巣と表現し,検索エンジンの情報収集を受け持ち各サイトの情報を取得してくるロボットをスパイダーと云う。糸はリンク,私たちは自ら蜘蛛となって,その糸をたどり,獲物(情報)を捕獲し,生活する。蜘蛛にとって糸は,捕獲のための網でもあるし,家ともなる。生んだ卵を包み込むことにも使うし,糸を吹き流して空を翔ることもできる。検索エンジンを利用し,自らのキーワードに「振れた」場所へと瞬時に移動していく実感は,とみに蜘蛛の巣の上を辿り進む姿と重なる。自らの吐く糸よ,地の果ての彼の人へと達せよ。
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